安くて音のいい、ARTE NOVAレーベルについて
2週間前からARTE NOVA というレーベルのCDを買い漁っている。今はもう存在しないドイツのレーベルで、日本ではBMGソニーの系列で販売されていた。
1990年代から日本で発売され、輸入盤で500円、国内盤で880円という爆安廉価盤なCDレーベルとしてマニアックな注目を集めた。
当時は廉価CDは昔の名盤ばかりであり、新録音はすくなく、あっても曰くある怪しい海賊版のようなものばかりだった。
ところがナクソスという香港のクラシック音楽レーベルが登場して事態が一変した。日本では確か80年代後半から発売が開始したと思う。価格は新録音CD1000円くらい。当時からすれば激安価格だった。
ただ、ナクソスの録音にはいろいろ問題があった。特に初期録音は、まあ確かに新しいけどこんなもんかな?演奏も特に良くもないというビミョーな感じだった。
ナクソスには音質や演奏に問題があったが、価格破壊により躍進した。
その後発で、ドイツ人(名前忘れた)がベンチャー企業として立ち上げた。それがARTE NOVA だった。
このARTE NOVA、最初はナクソスと同様、激安だだった。だから演奏者や録音もそれなりだろうと思っていた。私も当初そういう認識だった。
ただ、価格がやたらに安いので片っ端からARTE NOVAのCDを買いまくって聴きまくっていた。そんな中で「ん?この録音、なかなかいいのでは?」という発見をするようになった。
ただ演奏の質は是々非々で、いいものも悪いものも玉石混淆の世界。でもそこが良いのだ。
演奏者だけでなく、全然知らない作曲家の知らない音楽も聴ける。それがまた宝探しのような楽しみでもあった。
中でも注目するようになった演奏家は数多い。デイヴィド・ジンマン指揮のベートーヴェン、スクロヴァチェフスキのブルックナー、ゲルハーエルのシューベルト歌曲などなど。バッハの無伴奏チェロのグイド・シーフェン、なぜかミヒャエル・ギーレンという大物指揮者の録音もあって驚いたものである。
そういうわけで、このブログでも、廉価CDで録音がいい!となるとみんなに紹介したくなるのが人情である。
ARTE NOVAのCDはおすすめだよ!と伝えたいが、先も買いたように既にこのアルテノヴアレーベルは今はない。中古しかない。Amazonなどでみてもさほど安くない。場合によっては高値になっている。いやはや。
でもリアル中古ショップへ行くと100円300円くらいで売っていることがあるので、そういう時は運試し気分で即購入している。ま、今やサブスクで聴けるのでそちらにあれば紹介していくようにします。
そんなわけで、今日は最近買い漁っているARTE NOVAのCDより。
マンハイム楽派の音楽第2集 カール・シュターミツ
2つのクラリネットのための協奏曲
バセットホルンのための協奏曲
クラリネットとファゴットのための協奏曲
Kurpfälzisches Kammerorchester • Jiří Malát, conductor
Karl Schlechta, clarinet, basset horn
Jürgen Demmler, clarinet • Jürgen Gode, bassoon
カール・シュターミッツ(Carl Stamitz, 1745年5月7日 – 1801年11月9日)はドイツのチェコ系作曲家。マンハイム楽派第2期の傑出した作曲家である。シュターミッツ一族の作品は、チェコ系のレコード会社から録音が出されるようになり、このためにチェコ語による綴りKarel Stamic(カレル・スタミツ)も定着しつつある。 マンハイムに生まれ、父ヨハン(マンハイム楽派の開祖)から音楽教育を受ける。1762年からマンハイム宮廷楽団で演奏し、1770年からパリでヴァイオリニストとして活躍した。後年はヨーロッパ各地を転々としており、プラハやロンドンにも暮らしている。交響曲と協奏曲をそれぞれ50曲以上のこしており、おびただしい数の室内楽もある。(Wikipediaより)
マンハイム楽派って、今聴いてみたらモーツァルトやハイドンなどの古典派の音楽そのもの。どれ聴いても大体おんなじ感じ。毒にもならないが、それだけ安心できるとも言える。現代人なら癒しも得られると思う。古典派のいいところは形式が決まっているので、予測できない音楽展開は全くないということだ。
カール・シュターミツはチェコ系の作曲家一族で、お父さんのヨハンも弟のアントンも有名な音楽家だったらしい。
このマンハイム楽派ってなかなかすごい楽派だったらしく、交響曲の成立に深く貢献していたらしい。ハイドンはもちろんモーツァルトもマンハイム楽派に倣って曲を書いていた事もある(交響曲第31番パリ)。
それはともかく、このCDは録音がとても素晴らしい。
私が感じる良い音とは、豪華な感じではなく、そこに楽器があり、音が出ているという自然な感じを言う。このCDはそれがちゃんと感じられる録音ということだ。カイザースラウテルンの南西ドイツ放送局のスタジオなのでさほど残響も多くないので、音がぼやけないでスッキリ聞こえる。こういう録音は意外と少ない。
最近のクラシック音楽の録音はライブが多く、残響の多いホールでのライブ録音が多く、また世間でいい音とされるのが、残響の多いホールでの録音だからだ。
残響が多いと風呂場見たいな感じで一聴は気持ちいい。でも、音の動きがちゃんと聴き取れないので音楽の微妙な違いが分かりにくく、聴いていて楽しさが半減することも多い。
30年ほど前から日本にクラシック音楽専用ホールが乱立するようになった時も、残響が多いのが良いホールとされる傾向があった。しかし残響が多いだけでいいホールなんてことはない。(愛知県芸術劇場コンサートホールは完成当初は注目されたが、個人的には残響過多で演奏しづらい、聴きづらいと思う)
とはいえ、今でも残響が多い録音=良い録音=リアルという図式が割とあるように思う。
純セレブスピーカーで聴くと、残響の有無ではなく、音が出ているところ(楽器や歌い手)の存在感の有無の方が大切だと思える。
むしろ残響をつけすぎている録音が嫌になる事もあるくらいだ。
また脱線した。
この録音は管楽器クラリネットやファゴットのソロがいい感じで録音されている。良いと言っても特段驚く感じではない。あくまでも、そっとした「存在感」がいい。残響は適切で嫌な感じはない。楽器の響きをぼやかさないという意味でいい録音。
CDは中古のみ(マンハイム楽派の音楽5枚組)。
Amazonサイトではこちら(Amazonミュージックでも聴けます)
もう1枚について書くつもりでしたが、長くなったのでまたあらためて書きます。
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